遍 路
作 表 正彦
日は暮れて夢も失せ、
細鴉鳴き叫ぶ。
夜に絶えぬ土の跡。
胸を病み恋路回る遍路おり。
ひはくれてゆめもうせ
ほそがらすなきさけぶ
よにたえぬつちのあと
むねをやみこいじまわるへんろおり
解説
日は暮れてしまい、夢も失せてしまい、ほっそりとした鴉(からす)が鳴き叫んでいる。夜どおし、土の跡が絶えない。それは胸を痛め、恋の路をさまよっているお遍路さんがいるからだ。
語句説明
恋路=男女の恋心の通いあうことを道に例えた言葉。
遍路=四国八十八カ所の霊場を訪ね回る人、回ること。
=評= 当ルールには合っていませんが何ぶん1980年頃の良い作品ですので例外的に掲載致しました。(当会)
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