花と人と
作 渡る風
桜 百合 芙蓉 菖蒲
合歓 芥子 菫
いつか花散る
我もそ 世をお遍路に
火ほの消えて
またと来ぬ
さくら ゆり ふよう あやめ
ねむ けし すみれ
いつかはなちる
わもそ せをおへんろに
ひほのきえて
またとこぬ
解説
さくら、ゆり、ふよう、あやめ、ねむ、けし、すみれ、‥‥‥ それらはいずれも精一杯に美しい花を咲かせる。しかしいつかはその花は散るのだ。(新しい花がまた咲くけれども) 考えてみると、このわが身も、この現世に生をうけてお遍路のように人生の旅をつづけ、やがていつの日か、いのちの火が静かに消えてこの世を去り、またと戻ることはないのだなあ。(新しい人がまた生まれるけれども) 元祖いろはうたの内容をヒントにしました。作者としては、「だからこそ、この今出会うものごとを深く味わい、 楽しみ、学びたいものだ」との思いがあります。
語句説明
我もそ=わもぞ=他ならぬこの私も。「わ」「も」「ぞ」ともに文語。 (ぞ=そ)
世を=せを=この世間を。この人生を。「世(せ)=時間の区切り。また、人の一生。」広辞苑
来ぬ=こぬ=来ない。ここでの「ぬ」の文法的な意味は完了でなく打消し。
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