春の晨
作 英山華
春の晨、鳥鳴き見えて
古網掛け干す、藁屋に遍路。
夕暮れむ、お染久松、一夜寝をせぬ。
はるのあした
とりなきみえて
こもうかけほす
わらやにへんろ
ゆふくれむ
おそめひさまつ
いちよねをせぬ
解説
春の早朝、小鳥たちが鳴いている。軒先に古い漁網が掛けて干してある藁屋に、遍路姿の老人が隠居している。春の日も暮れる。お染久松は、一晩中寝もしない。(道行の若い二人が立ち寄って、老人に身の上話をしている情景)
語句説明
晨(あした)=夜明け、早朝。≪大辞林≫
歌え(うたえ⇒うてえ)=方言、一種の音便?
み籠も(みこも)=籠もよ、み籠持ち。『万葉集』(巻1-1) 雄略天皇
夕(ゆふ)=夕方、日暮れ時。≪学研古語辞典≫
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