毎日新聞 2009年6月1日 12版 (文化10) より

沖縄史シンポジウム相次ぐ〈薩摩侵攻400年 琉球処分130年〉

 今年は薩摩・島津藩の琉球侵攻から400年、明治政府による琉球処分から130年の節目にあたる。これを機に沖縄、鹿児島県の各地で、日本と琉球弧の関係を問い直す催しが相次いでいる。24日、那覇市民会館であった「琉球処分 130年を問うシンポジウム・大激論会」では現在の沖縄が抱える問題を、戦後の復帰運動にしばられずとらえ直そうという機運の高まりが感じられた。

 主催は今年1月に結成された市民団体「薩摩の琉球支配から400年・日本国の琉球処分130年を問う会」。琉球大の金城正篤名誉教授らがパネリストに加わった討論会では、明治政府の琉球処分が琉球王国の意向を無視して進められた点や、処分後も旧王国の役人らが清に亡命して救国運動を続けたことが紹介された。

 沖縄、鹿児島県の各地では72年5月の本土復帰にちなんで
▽今月2日「未来への道しるべ 薩摩藩奄美琉球侵攻400年を再考する」=鹿児島県・徳之島町文化会舘
▽9日「薩摩の琉球侵攻400年を考えるシンポジウム」=沖縄県立博物館
▽17日「琉球から薩摩ヘ──四百年を考える」=鹿児島県・沖永良部島
=など、近世・近代の琉球史をとらえ直す催しが続いている。いずれも、台湾や中国と交易する独立国だった琉球が日本に服属する過程を検証するもので、その狙いは「幕府や島津藩、明治政府の琉球不在のやり方は、沖縄サイドの意見が反映されない現代の基地問題につながる」(金城教授)との指摘に集約される。

 「問う会」の比嘉康文事務局長は「結論を出すのが目的ではなく、多くの人が議論する場を設けたかった」と言い、年内にシンポジウムや戦跡フィールドワークも開く予定。琉球処分100年の際は、復帰直後ということもあって反復帰論が議論の中心だったという。30年を経て、より広い視点での検証作業が期待される。
  【竹花周、写真も】

【写真】200人以上が参加した「琉球処分130年を問う」=那覇市で