一九七二年一月十六日 琉球新報
町の話題 成人式でハプニング
成人代表の屋良朝助君 政治のひずみ痛烈に批判
「侵略者である日本を祖国と教える教育は問題だ。異民族支配を許し、第三の琉球処分を許していったのは指導者の無知、無能からくるもの・・・」。成人代表の屋良君は時たま両手を高々と上げ、Vサインをおくる。型破りのあいさつに市職員は驚き指導者は目を白黒、那覇市でのハプニングだ。
関係者をビックリさせた屋良君。十四日市役所を訪れ、「ぜひ成人式のあいさつをさせてほしい」と要望。たっての願いに市職員も代表あいさつをさせることにした。その際、市で準備した原稿を渡され、それを成人式で読み上げることになっていた。ところがフタをあけるや、昨夜考えたという自分の原稿を堂々と読み上げてしまった。
舞台裏では市職員が、あいさつをやめさせようかと話し合うなど大騒ぎ、屋良朝苗主席や平良市長は、屋良君の政治批判にあいづちを打ったり、苦笑したりしていた。問題の屋良君、あいさつを終わって市職員から「なぜ打ち合わせどおりしなかったか」と追求されていたが、いいたいことをいったまでーとシャーシャーとしていた。