討議資料
2016年11月20日(日) 琉球新報 論壇 屋良朝助
トランプ氏と翁長知事の会談実現を
米国と沖縄の利益へ
トランプ次期米大統領と沖縄県知事について、インターネットなどを見ると、本土では「トランプ氏は翁長雄志知事と会わないだろう」「門前払いだ」「知事は
呑気なものだ」など、冷たい見方がほとんどである。
しかし、その意見は沖縄の状況を全く無視している。翁長知事は、多くの米軍基地が置かれている沖縄住民の代表であり、他県の知事よりも米国にとって重要で
ある。
琉球政府時代も米軍は世話になっている。米国のトランプ次期大統領が知事と会わなければ、沖縄住民の心はますます米国から離れ、沖縄の米軍基地の維持にも
影響しかねない。
敗戦で、大田実海軍少将が「県民に対し、後世特別の御高配を賜らんことを」と言い残した。しかし、「御高配」どころか、日本人は日米安全保障の利益を受け
ながら、リスクを沖縄に押し付けているのである。
再び日本が隣国と戦争でも起こせば、真っ先にミサイルが飛んで来るのではないかと県民は戦々恐々としている。終戦直後、私が子どもの頃、那覇の巷では、
「日本が負けて良かった。琉球文化の復興も重視され、沖縄に大学もでき、アメリカ世になって良かった」と言う人がいたほどである。
米国人は恩を忘れる民族とはとても思えない。米国と琉球の歴史的経緯から、翁長知事を門前払いすることは考えられない。
辺野古の新基地建設に関して、基本的には米国政府と日本政府の決定ではあるものの、民主主義の国・アメリカにプライドがあるなら、沖縄住民の意思を無視し
てまで辺野古新基地を押し付ける必要はないと、トランプ次期大統領が判断し、中止する可能性もあると思う。
トランプ氏は当然、米国の国益を重視する立場である。日本政府から基地負担金を多く引き出すため、水面下の交渉で日本政府に対して、予算をもっと多く出さ
なければ、辺野古を中止するぞと匂わせ、脅しにも使える。そのためにも、翁長知事と会っておく必要がある。
大国アメリカからすれば、安保条約が破棄される訳でもなく、辺野古の新基地中止くらいどうってことはないはずだ。政権が代わったことによる部分変更の範囲
であり、言い訳は立つ。次期大統領トランプ氏が翁長知事と会った方が米国の国益になるのか、会わない方が国益と判断するのか沖縄県民は注目しよう。
(那覇市、会社代表、64歳)
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