1971年4月20日(火) 琉球新報

西表に大規模な銅鉱山 米企業が探鉱進める
精練工場建設を計画 金銀も埋蔵の可能性

 “眠れる宝庫”といわれてた西表島に最近、大規模な銅鉱山があることがわかり、アメリカの有力な産鉱会社二社が探鉱を進めている。一方、地元の国場組は同二社をバックに西表島北東部の高那一帯に鉱業権を申請、琉球政府の処理を待っている。米企業側の構想では同島に九千七百万ドルの資本を投下して銅鉱石の精練工場を建設、年産九万三千トンの銅を生産する計画だが、近く具体的な調査をするため関係者が来沖することになっており、再び西表開発がクローズアップされている。

 米産鉱社ケネコットとナショナル・リソート・ディべロプメント社は、六一年ごろから西表島の銅鉱山に強い関心をもち、これまで米スタンフォード大学関係者が非公式に調査、探鉱を進めている。その結果、同鉱山はかなり有望視されるようになり、推定埋蔵量は四億トン(二万三千四百二十九アール=六十万坪)で、品位(質)は〇・七五%とのデータが出た。本土の銅鉱山の場合、品位一・三二%といわれているので、品質は劣るが、西表銅鉱は、掘さく深度が浅く露天掘りが可能である事、副産物利用による硫化学(硫安肥料など)の関連産業がおこせること、さらに一帯が山林であるために公害をふくむ鉱山保安などの条件が備わっていることなどの有利性があげられている。

 関係筋の話によると米二社は、一日五万トン、年間千五百万トンの鉱石から九万三千トンの銅を生産する精練工場を同島に建設する計画であり、二十年前後は操業可能だといわれる。雇用能力も二千六百人と見込まれているが、金、銀などの埋蔵の可能性もあるといわれ関連企業の立地も見込まれる。

 西表の銅鉱山は開発条件からみて世界有数だといわれ、通産局鉱山係ではどのような調査に基づくものか明確でないとしながらも、最近西表銅鉱にかんする問い合わせが多いこと、一九六三年の通産省の調査でも「再調査」の必要性があげられていること、立地条件が良いことなどから関心を示している。そこで通産局では鉱業権申請の処理を急ぐ意向である。しかし、高那一帯には国場組のほかに二、三の出願申請が出されており、尖閣列島の例のように利権争いで紛争となることを心配、慎重に構えている。

 西表銅鉱山をめぐる米側の動きに対応して本土の大手関連会社でも強い関心をよせているといわれるが、開発の可能性や規模はこれからさらにつめられることになっており、米側から五月に地質調査団が来沖することになっている。



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