沖縄タイムス オピニオン 論壇 2010.1.20(水)
非武装で平和保てるか 無防備条例制定に反対 比嘉 誉
14日付本紙は、「戦争はイヤです!なは市民の会」から制定を求められていた無防備条例案を那覇市議会が否決したと報じた。喜ばしい限りだ。同条例制定にどのような意味があるかを知り。否決を願っていたからである。簡単に言えば、自治体が敵の侵略に対して「うちの自治体は無防備地域だから攻撃しないでくれ」ということらしい。
それでは、その無防備地域とはどのような地域だろうか。1、戦闘員・移動兵器の撤去 2、軍用施設などの使用禁止 3、敵対行為の禁止 4、軍事行動を支援しない−など4条件を満たしていることが必要であるという。そして、その宣言をすることの意味はジュネーブ条約追加第1議定書第59条に「いかなる手段によっても紛争当事国が無防備地域を攻撃することを禁止する」とあるから自分たちの自治体は攻撃されないということであるらしい。
それからすると、自治体が無防備宣言をするためには当該地域から自衛隊など一切の防衛力を排除しなければならなくなる。一部の地域に軍事施設を置けず、軍事行動もできないとなれは国全体の防衛計画は成り立たない。要するに「無防備地域宣言」の運動は攻めて来る敵国のみに有利な運動なのであり、領侮を侵犯され、固有の領土に不法上陸されるようなわが地域で進めるべき運動ではないと思う。
国を守るには、敵に攻撃を断念させるだけの軍事力とそれを支える国民の高い防衛意識が必要である。どこかの国の有利になるようにするにはそのどちらかまたは両方を弱くすれはよい。だから、自分たちの意図を隠して「軍隊があるから戦争が起こる」とか「非武装なら攻撃されない」などと吹聴する人たちが出るのである。非武装なら本当に平和が保てるのか、実例を見てみよう。
わが国では軍隊を解散したハイチ共和国のことを誰も語らない。その国で反政府武装集団が蜂起して大統領が国外に脱出する事態になったことがあるが、その勢力はたった200人だったという。約5000人の国家警察隊が治安に当たっていたが、警官らは抵抗せず逃げたと いう。
このように、軍隊を持たない国、国を守る気概のない国民ではたった200人に国を乗っ取られることがある。国の防衛をおろそかにするような運動に警戒をしなければならない。
今回の那覇市議会の良識に敬意を表します。(西原町、70歳)
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