グアム、独立問う住民投票 知事発表、11月にも 「米属領」に不満
琉球新報2016年4月2日 05:05
米国グアム準州のグアム政府脱植民地化委員会は1日、11月にもグアムの独立などの是非を問う住民投票を実施することを決めた。同委員長のエディ・バザ・カルボ知事が公表した。グアム住民は米大統領選に投票できず、米連邦下院の代表者に議決投票権がないなど、民主主義の制度が制限された「米国の属領」的地位に、住民の不満が募っていた。グアムの米軍基地拡大計画も、グアム住民の意思に関係なく、米政府、米連邦議会が決定してきたとして、先住民のチャモロ人らから強い反発がある。
グアムには在沖米海兵隊約4千人の移転が決まっており、日米両政府は2013年10月に移転を20年代前半に開始することで合意している。カルボ知事も基本的には移転に賛同している。
投票する際の選択肢は「完全独立」「自由連合国」「米国の州」の三つ。「自由連合国」は、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島のように、内政権、外交権を持っているが、軍事権は米国が持つ国のことで、国連には加盟できる。
住民投票は、国連憲章で自己決定の原則を宣言した第1条(2)と第55条を根拠に実施する。
グアムは、国連脱植民地化特別委員会から「非自治地域」に登録されており、国連憲章では、統治国の米国に自治への支援を義務付けている。全ての人民は自己決定権を有し政治的地位を自由に決めることができるとする植民地独立付与宣言も根拠となる。
国連憲章第73条に基づき、米国にはグアムの住民投票の決定を尊重することが求められる。米政府が投票の結果を公認しない場合でも、国際社会や国連からの米国への圧力が予想される。
住民投票を目指すグアムの関係者と交流が深い松島泰勝龍谷大教授は「住民投票は、東ティモールと同様に、国連の監視下で行われるだろう。東ティモールも非自治地域にリスト化されていたが、住民が独立を選択して、独立を実現できた。米国もグアムの住民投票の結果を無視できない」と指摘する。
その上で「グアムは琉球と同じく植民地だ。国連、国際法、国際的なネットワークを活用して、グアムは具体的に脱植民地化のための歩みを進めている」と強調した。(新垣毅)