2008年7月13日(日) 沖縄タイムス朝刊 22面

単独州 圧倒多数で「可決」/道州制向け民衆議会

 道州制の導入をにらみ、沖縄の自治、自立の在り方を考える市民講座「道州制・自治州、あなたはどうする」(主催・沖縄大学地域研究所)が十二日、那覇市の沖縄大学で開かれた。沖縄道州制懇話会座長の仲地博・琉球大学教授による講演のほか、「第一回民衆議会」と銘打った       討議には市民や研究者ら十三人が登壇して持論を展開。最後に行われた「議決」では、「沖縄単独州」が圧倒的に支持された。
好機到来
 市民約百人が参加。「民衆議会」には、市民弁士が次々と登壇し、持論を熱っぽく語った。
 登壇者の大半は、沖縄の地理的特性や歴史的経緯から「沖縄単独州」を支持。琉球自治州の会の大村博さんは「琉球民族の自決を求める最大のチャンス」、自治体学会の座安英明さんは「奄美群島の民意を確認した上で、合流も視野に入れるべきだ」と述べた。
 ただし、経済や財政面での不安の声も上がった。嘉手納基地の民間空港化や産業集積などによる経済的な自立の必要性が指摘されたほか、南九州や四国各県との合流案や、東京との併合案も飛び出した。
英知結集
 一方、沖縄自治研究会の濱里正史さんは「国も自治体も破たん状態。少ない財源を生かす点でも、単独自治州のような高度な自治権が必要になる」。
 沖縄経済同友会道州制委員長の仲本豊さんも「経済や財政の自立は必須条件ではなく、制度に合わせた財源措置を考えればいい。必要なのは理論の構築と発信だ」と訴えた。
 最後に参加者全員で行われた「採決」では、単独州が圧倒的多数を占め、九州州は二人、東京州は七人だった。
 仲地教授は「道州制が始まったとき、沖縄が再び『一方的に決められた』と思わないため、今から英知を集めて向き合わなければならない。こうした民衆議会が引き続き行われることに期待したい」と話した。