2006年1月21日 琉球新報朝刊5面
リッチな琉球国への道
日本から独立し、油田開発を
かつて私が外国船の船員だったころ、船が台風避難のためにハワイ・ホノルルに緊急入港した。その時中国系米国人に声を掛けられた。出身は何処かと尋ねられた。「沖縄です」と答えると、その人は、いきなり「沖縄は中国のものよ」と言って「日本復帰はしない方がいいよ」「独立した方がいい」と、片言の日本語でアドバイスした。
その時は、笑ってその場を聞き流したが、四十年経過した今日、二〇〇五年十二月二十日付本紙に林泉忠琉大助教授が実施した、沖縄住民のアイデンティティー調査で四人に一人(25%)が「沖縄独立を要望」の結果が出た。
独立を望む理由として「沖縄の政治・社会的状況が本土とは違う」が最も多かったとある。最近の社会状況を鑑みる時、沖縄が「継子扱い」され、常に苦境に立たされている状況である。県民の頭越しに行われた在日米軍再編の中間報告で、普天間飛行場の移設先を辺野古キャンプ・シュワブ沿岸部と合意した。
日本政府は、沖縄県民を援護する立場にはない。県民が基地問題で追い込まれ、立つ瀬がなくなると沖縄県独立の機運が高まるのは必然的で否定できない。戦後六十年がたっても戦渦で犠牲になった人々を弔い、肉親への思慕の情は増すばかりだが、残忍な戦争の殺戮の場は二度と思い出したくない。
一切を忘却して子孫を戦渦の憂き目に遭わせない平和を願う感情が一般的であり、悲惨を極めた人々が、戦争の恐怖を語れず口を噤む人が多いことも事実である。そのような状況を省みず、沖縄県だけに基地の過重な負担は、あまりにも冷酷すぎる。
以上の観点から推察すると、前述の林助教授のアイデンティティー調査は沖縄県民の心情を察するに余りある。むしろ県民の心底には琉球国への回帰の念が出て潜在化しているに違いない。
沖縄には、尖閣諸島がある。日本政府と中国政府がガス田問題でぎくしゃくしているが、大交易時代の好を顧みると、中国政府と琉球国の構図が最良の問題解決の糸口をつかみ、両国に益をもらたし、無尽蔵の海底資源は琉球国民を永久に潤すだろう。
奇抜な発想を持つ徳村真栄氏が、県内の経済紙「観光とけいざい」で琉球国への独立に向け、構想を述べている。その一部を垣間見ると、日本の平和維持に貢献した沖縄の基地の代価一兆円を政府から引き出せる大臣経験のある実力者を知事に据える。国から基地の過重負担を掛けられ国防の最前線で身を晒されながら、復帰施策、本土との格差是正の大失敗で県民所得69%、失業率二倍と復帰後の所得のゆがみを是正するために一兆円を充てる。
さらに米国から基地使用料(迷惑料)年三千億円、日本政府からも年三千億円を獲得、復帰を総点検して所得格差が是正された後、尖閣諸島を日本から分離させて沖縄が独立する。すべては知事の手腕が頼りで、具体的な構想が記されている。
琉球国が誕生すると、中国との友好が復活し、油田開発の交渉が成立し、油田で国を潤すリッチな琉球国人が見えてくる。
(那覇市、自営業、64歳)
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