夕刊フジ 2010年2月7日
お酒を飲むと脳細胞が死ぬ!? ダメージが進行すればアルコール性認知症にも
知りたくもない!?カラダの不思議 飲まない人と比べて10年早く脳萎縮進む
酒飲みには聞き捨てならない話がある。「お酒を飲むと脳細胞が死ぬ」というのだ。これって本当なのだろうか。医療法人社団榎会・榎本クリニックの深間内文彦院長に聞いた。
「その通りです。加齢とともに脳の神経細胞は減っていきますが、アルコールを飲んでいる人の脳では神経細胞の減少率が促進され、CTなどで見ると年齢のわりに高度の萎縮が見られることがあるんですよ」
ガーン!! ちなみに、お酒を1日2合以上飲む人の脳では明らかな萎縮が見られると報告されており、飲まない人に比べて酒飲みは10年早く脳萎縮が進むといわれるのだとか。
「例えば、脳の海馬という部分に萎縮がおこると、記憶力が低下し、物忘れがひどくなります。飲酒時のことを覚えていないブラックアウトという現象もこのためです」
「覚えてない」って、言い訳じゃなかったんだ…。
「さらに、前頭葉という部分の萎縮が進むと、思考力や判断力が低下したり、キレやすくなるといった人格変化が起こったりします。そのため職場や家庭でトラブルを起こすことがよくあります。これは単に脳細胞が死ぬという構造的な変化だけでなく、アルコールが脳内で情報のやりとりをしているさまざまな物質に損傷を与えているためです。脳へのダメージが進行すれば、アルコール性認知症と呼ばれる知的活動が低下した状態になってしまいます」
さらに、アルコールとうつ病には密接な関係があり、お酒を飲み続けている人の自殺のリスクは非常に高いこともわかっている。また、胃潰瘍、高血圧、心筋梗塞、慢性膵炎、糖尿病、痛風、がん、性機能障害など全身のあらゆる臓器に問題を起こすのがアルコールだ。
破壊された細胞はもう手遅れなのだろうか。
「いいえ、手遅れというわけではありません。きっぱり酒を断てば、脳の神経細胞が修復され、あるいは新たに生まれかわり、数カ月、数年単位で脳の萎縮が改善する症例があることも近年、わかっています」
まずは休肝日を作るところから、始めてみるか。
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