憲法骨抜きの緊急事態条項 比嘉康文
本紙3月3日付けの「ナチ党独裁生んだ『危険な国家緊急権』」(東京新聞 こちら特報部転載)の特集は、日ごろ漠然と感じていた安倍政権の危険性を具体的に教えてくれる記事で、とてもありがたかった。
ユダヤ人を大虐殺したドイツのナチ党(国民社会主義ドイツ労働者党)が台頭した原因の一つが国家緊急権で、現在の安倍政権が改憲で目論(もくろ)んでいる緊急事態条項(国家緊急権)との類似性が説明されている。
ドイツでヒトラー政権が誕生したのは1933年1月30日。日本が国際連盟に脱退表明して、戦争への道を歩み始めたのも同年である。ヒトラーは2月28日に緊急事態宣言を発令、司法手続きなしで逮捕、拘禁ができるようにした。さらに言論の自由、報道の自由を停止させた。
自民党改憲案の第98条「緊急事態の宣言」は「武力攻撃、社会秩序の混乱、大規模な自然災害」の際には緊急事態を宣言することができる、と規定されている。しかし、武力攻撃や社会秩序の混乱は自衛隊や警察で対応できる。これまでの大災害は災害対策基本法で実際に対応してきたので、何の心配もない。むしろ、外交や内政を充実させて未然に防ぐことが大事である。それが政治家の務めだ。
2月12日付けの「金口木舌」は「制限速度40キロの道路を60キロで走って捕まった人が『みんな60キロで走っているから道路標識を(60キロに)変えるべきだ』と言えば、お笑い草だ」と述べ、安倍首相が「7割の憲法学者が自衛隊に憲法違反の疑いを持っている状況をなくすべきだ」と、9条改憲に言及したことを批判している。まさに通りだが、それを追及しない国会議員がおかしい。
特集記事で、ファシズム研究の池田浩士京大名誉教授は「ヒトラーは合法的に憲法を破壊したが、安倍内閣は一昨年、集団的自衛権の行使容認を閣議決定したように、脱法的に憲法を壊した。二〇一三年に成立した特定秘密保護法も違憲の疑いが濃い。手法は違えど、憲法を骨抜きにした点は同じだ」と批判している。
1月25日の東京新聞には弁護士らが意見広告を掲載し、麻生財務大臣が「ワイマール憲法がいつのまにかナチス憲法に変わった。あの手口を学んだらどうか」との文言を引用、安倍政権の改憲の怖さを述べている。
ヒトラーは「人権と民主主義という近代世界の普遍的な価値と制度を徹底的に蹂躙(じゅうりん)し、破壊した」(『ヒトラーとナチス・ドイツ』)。安倍政権は「ナチ時代」に日本を戻したいようで、危機感を抱いている。
(宜野湾市、無職、74歳)
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