頼みの綱 米国民主主義 沖縄無視する日本より期待大 比嘉康文
いつの歴史をみても、正しさは少数者によって始まった。その言葉を本で知って以来、鮮明な記憶として残っている。
辺野古新基地建設を阻止するため訪米した翁長雄志知事が国防省や国務省などで訴えている記事を読むたびに冒頭の言葉を反芻し、そして期待した。
沖縄は日本の総人口のわずか1%の住民が暮らす離島県だ。民主主義は少数派に対して寛容のはずだが、日本の政治にそれを感じたことは一度もない。
しかし、沖縄戦後史の中で米軍が私たちの少数意見を聞き入れた事例は決して少なくない。アメリカの威信をかけたベトナム戦争の最中、伊江島にミサイルを陸揚げしたとき、阿波根昌鴻氏らがミサイル搬入をストップさせている。
そのとき、阿波根氏らは「あなたの村や町にミサイルを持ち込みますか」と、諭すように米兵に迫ったという。米兵は無線で上司とやり取りしていたが、結局引き上げている。
もし日本ならば、すぐに機動隊を派遣するだろう。現在の辺野古で海上保安官の無謀な振る舞い、暴力沙汰がよい実例だ。安倍政権は沖縄の民意には耳を貸さず、問答無用として県民に襲い掛かる。それが日本の民主主義だ。
一九七○年の大晦日、国頭山中のカシマタヤマに造った在沖米海兵隊の実弾砲撃演習場の撤去闘争でも米軍を説得し、引き上げさせている。村民の先頭に立って銃剣と鉄条網で警備している演習場に入った上原一夫村議は「国頭村と在沖米軍との間には、実弾を使用しないという取り決めがある。それを無視することは許されない。アメリカは民主主義の国ではないのか」と主張した。早朝から村民と米兵が睨み合ったが、空砲1発も撃たずに引き上げた。
他の事例は紙幅の関係で省く。すべての選挙で示された沖縄の民意を無視する日本の民主主義よりも、少数者に寛容なアメリカの民主主義に期待するのは当然だ。米軍軍属による筆舌に尽くし難い事件事故も多いが、一方、私たちはアメリカの民主主義も体験してきた。だから、戦後史を知る翁長知事がアメリカと直接交渉するのは当然の成り行きである。国防・国務両省は「辺野古が唯一」と声明を出したが、日本政府の要請だろう。鳩山政権崩壊で国民は、その汚い手口を知っているからだ。
それにもかかわらず上院軍事委員会のマケイン委員長らは「話合いを続ける」と答えている。翁長知事の訪米は大成功だ。あとは少数者に寛容なアメリカの民主主義にどう訴えていくか。みんなで知恵を絞りたいものだ。 (無職、宜野湾市)
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