討議資料

琉球新報2014年7月19日論壇

遺骨保管・DNA鑑定は国の責任 焼骨せず遺族へ返せ 比嘉康文

 来年は敗戦後70周年を迎える。だが、沖縄の地には無念の死を遂げた兵士や住民の遺骨が放置されたままだ。その遺骨収集を国は完全に行なわず、ボランティアが寸暇を惜しんで行なっている。国吉勇さんや具志堅隆松さんらの作業がよく知られている。
 本紙11日の「焼骨せず鑑定を」の記事を読み、国の無責任ぶりに怒りを覚えたのは小生だけではなかろう。遺骨はDNA鑑定をして保管し、遺族の求めに応じていつでも身元が分かるようにすることは国の義務であり、責任である。
具志堅さんは自ら「ガマフヤー」を名乗り、使命感をもって発掘作業に従事している。彼から数回呼ばれて遺骨や遺品の説明を受けたことがある。そのとき彼は「一人でも多くの遺骨を遺族に返してあげたいが、DNA鑑定が思うように進まない」とこぼしていた。
臆病者の小生は「怖くないのか」「ハブの危険性はないか」「不発弾は事前調査しているか」など、質問を浴びせたことがある。彼は「私だって怖いですよ。だが、原野に放置して置くのは忍びない」と話していた。
この沖縄で戦死した親や夫、兄弟、恋人たちは敗戦69年間過ぎても、その屍は山野に放置されたままだ。遺族は遺骨と対面し、どこで死んだか知りたい。それに答えるのがDNA鑑定だ。それを拒否することは国には許されない。
元職業軍人で陸軍少佐、復員後は東京大学で歴史を専攻して『日本軍事史』や『太平洋戦争史論』などを著わした一橋大学名誉教授の藤原彰氏は、戦死者の六割が餓死と病死で占めていると発表し、国民に大きな衝撃を与えた(『餓死した英霊たち』)。それは防衛研究所の資料を詳しく調査した結果、導き出された結論。
つまり、国が「靖国の神」として祀っている者の六割は食糧や医薬品を補給しなかった国によって殺されたことになる(『靖国神社に異議あり』)。中国や韓国から抗議された安倍首相の靖国参拝だが、国が餓死や病死に追い込んだことを英霊たちに詫びただろうか。
一銭五厘の葉書一枚で戦地に送られ、激しい銃撃戦の末に敵の銃弾で「名誉の戦死」をとげたのではなく、無責任な国によってその尊い命が奪われたのである。そのことを考えると怒りを覚えるが、身元の手がかりとなるDNA鑑定もしないならば、遺族の悲しみは永遠に癒されないだろう。
国は集団的自衛権で再び国民に犠牲を強いるのではなく、まずは敗戦処理としての遺骨の収集、保管、DNA鑑定が最優先されるべきである。 (宜野湾市、無職)

遺骨保管・DNA鑑定は国の責任

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