放射能についての基本事項


電離放射線

電離放射線は、個々の原子をイオン化して、その構造を変える性質を持つ放射線です。
原子をイオン化すると、イオンが発生します。電離放射線を作り出す物質のことを、放射能と呼びます。

放射能は自然現象です。大陽やその他の星で、絶えることなく核反応が起こっています。
放出された放射線は宇宙空間を進み、その内のわずかな量が地球に到達します。
電離放射線としての自然物質は、人体や地面にも存在します。
最も一般的なものが、ウランとウランの崩壊によって発生した物質です。

電離放射線は、以下の4つのタイプに分類されます。

エックス線
真空で、金属の標的物に電子を高速で衝突させて作り出す放射線です。
エックス線は、光波および電波と同じ性質の電磁放射線ですが、百億分の1cm以下という極端に短い波長を持っています。
それらは、光子とも呼ばれます。
エックス線のエネルギーは、光や電波の数百万倍です。
このように高エネルギーであるため、エックス線は、人体組織を含む様々な物質を通過することが出来るのです。

ガンマ線
エックス線とほぼ同じです。ガンマ線は概してエックス線よりも短い波長を持っています。
ガンマ線は非常に貫通しやすく、それを食い止めるためには、厚い鉛のシールドが必要です。

ベータ線
一つの原子から放出された一つの電子から成るベータ粒子です。
ガンマ線よりも質量が大きく、エネルギーが低いため、ガンマ線やエックス線ほど深く物質に入り込むことはありません。

アルファ線
アルファ線は、ヘリウム原子核と同様、それぞれ2つの陽子と中性子から成っています。
一般的には、アルファ線は停止するまでに、空気中を3から6cmほどしか進むことができず、紙切れ1枚で進行を妨げることができます。

崩壊
原子がアルファ粒子やベータ粒子、ガンマ線を放出する際に、違う種類の原子に変化します。
放射性物質は、いくつかの崩壊の段階を経て、安定した(電離しない)状態になります。 物質にはいくつかの状態、または同位体があります。
物質の放射性同位体は“ラジオアイソトープ”と呼ばれますがより正確な用語は放射性核種といいます。

半減期
それぞれの放射性核種は、それぞれ特徴的な半減期(放射性核種が放出する放射線の強さが半分に減るまでの時間)を有しております。

ウラン238の完全な崩壊系列表

以下の表は、ウラン238(安定した鉛の安定同位体となって崩壊は終わります)の完全な崩壊系列を示しています。
系列内の放射性核種の半減期が、164マイクロ秒から45億年に渡ることに注目して下さい。

 アイソトープ  電離放射線 半減期生成物
U-238アルファ線45億年Th-234トリウム
Th-234ベータ線24.1日Pa-234プロタクティニューム
Pa-234ベータ線1.17分U-234ウラニウム
U-234アルファ線25万年Th-230トリウム
Th-230アルファ線8万年Ra-226ラジウム
Ra-226アルファ線1602年Rn-222ラドン
Rn-222アルファ線3.8日Po-218ポロニウム
Po-218アルファ線3分Pb-214
Pb-214ベータ線26.8分Bi-214ビスマス
Bi-214ベータ線19.7分Po-214ポロニウム
Po-214アルファ線164マイクロ秒Pb-210
Pb-210ベータ線21年Bi-210ビスマス
Bi-210ベータ線5日Po-210ポロニウム
Po-210アルファ線138日Pb-206

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