沖縄タイムス2009.11.2(月)29面

歴史に根ざした権利を 琉球民族の主権議論

 歴史を振り返り沖縄の将来像を考える第3回シンポジウム・大激論会「国連の先住民族勧告をどう考えるか」(主催・薩摩の琉球支配から400年・日本国の琉球処分130年を問う会)が1日、那覇市内で行われ、参加者が琉球・沖縄の歴史文化に根ざした諸権利を求めることの意義について議論を深めた。

国連勧告沖縄シンポ

 同会では昨年10月、国連で、琉球民族とアイヌ民族を国内法下で先住民族と認め、文化や伝統生活の保護を講ずるよう勧告がなされたことについて意見交換。
 基調講演を行った沖縄市民情報センターの喜久里康子さんは、裁判所などの国内的な人権保護制度
のほかに、国家による人権侵害を監視するため、国連などの第3者機関が重要な役割を果たしていると指摘した。
 パネルディスカッションでは登壇者6人が論議。このうち、沖縄国際大学非常勤講師の渡名喜守太さんが「今回の勧告の意義は国連が琉球人の自決権を認めたということ。沖縄の基地問題や歴史認識の問題も国際問題としてとらえ返すことが必要だ」と強調。
 また北海道アイヌ協会の貝澤和明さんは「これまでの活動で、旧土人保護法の撤廃や衆参両院の『アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議』の採択などを実現した。だがまだ第1歩であり、今後も継続した活動が必要」と説明した。


写真/激論が交わされた「国連の先住民族勧告をどう考えるか」のパネルディスカッション=那覇市・教育福祉会館