沖縄タイムス 2009年11月29日
普天間移設 国民世論「県外」多数 全国紙など調査「合意見直し」も
国民世論も県外移設を望む声が多数−。米軍普天間飛行場の移設について、11月に全国紙(新聞)4紙とNHKが実施した世論調査で、「県外・国外移設」や「日米合意案(名護市辺野古移設)の見直し・修正」を求める回答が、すべての調査で「現行計画通り進めるべきだ」という趣旨の回答を上回った。日米合意の見直しを求める声が過半数に達する調査もあり、識者からは「民主党が選挙で『県外・国外移設』を掲げた公約の履行を、国民全体が迫っているのではないか」との指摘が上がっている。
沖縄タイムス、琉球新報の地元2紙が県民を対象にした調査は「県外・国外移設」を求める声が63〜69%に上ったが、沖縄だけでなく全国世論でも県内移設に強い抵抗感があることが浮き彫りになった。
新聞4紙は読売、朝日、毎日、産経。今月10〜24日までに紙面で掲載された。NHKは9日に放送した。
日米合意の見直しを求める意見が最も多かったのは、朝日調査の54%。毎日調査でも「県外・国外移設」を求める声が半数に達した。
10月に「首相は県内移設で決着を」との「主張」(社説)を掲載した産経の調査も、「県外移設を実現すべきだと思う」が46%。「思わない」を10ポイント上回った。
一方、読売調査は日米合意を「少しは修正する方がよい」が32%で最も多く、「大幅に見直す方がよい」を13ポイント上回った。
早稲田大学の江上能義教授(政治学)は「日米合意の見直しを求める割合が非常に高く、驚いている。民主党が選挙で訴えた県外・国外移設が、国民に浸透しているのだろう」と分析。「民主連立政権が移設先を日米合意案に決めると、支持率が致命的に落ち込むのではないか」と指摘している。
11月マスコミ各社の世論調査(普天間移設関連を抜粋)
●朝日(17日)
Q、政権交代前にアメリカ政府と交わした、沖縄県名護市への移設の合意は、守ったほうがよいと思いますか。見直して再交渉したほうがよいと思いますか。
「守ったほうがよい」……28%
「見直して再交渉したほうがよい」……54%
●毎日(24日)
Q、鳩山由紀夫首相はどうすべきだと思いますか。
「県外・国外を目指し米国と交渉」……50%
「県内で別の移設先を探す」……17%
「辺野古移設を認める」……22%
●産経(24日)
Q、普天間飛行場の県外への移設を実現すべきと思いますか。
「思う」……46.2%
「思わない」……36.1%
「わからないなど」……17.7%
●読売(10日)
Q、普天間飛行場の移設は合意通りに進める方がよいと思いますか。
「合意通りに進める方がよい」……31%
「少しは修正する方がよい」……32%
「大幅に見直す方がよい」……19%
「答えない」……17%
●NHK(9日)
Q、鳩山首相は名護市に移設するとした日米合意をどうするべきと思いますか。
「日米合意を進めるべきだ」……23%
「日米合意を見直すべきだ」……35%
「どちらともいえない」……34%
岡田外相5日来県 住民意見聴取へ
岡田克也外務大臣が来月5日に来県し、米軍普天間飛行場の移設問題について直接、県民意見を聴取することが28日、分かった。複数
の関係者が明らかにした。現行案で移設先とされる辺野古を抱える名護市や糸満市で住民意見を聞く方向で調整している。民主党衆院議員のいる沖縄3区と4区の2カ所で意見を聞くことで、移設問題に関する県民の意向を幅広く把握する狙いがあるとみられる。
岡田外相は普天間飛行場の移設先として嘉手納基地への統合案を模索しているとされる。15、16日に就任後初めて来県した際には、仲井真弘多知事や島袋吉和名護市長、伊波洋一宜野湾市長、宮城篤実嘉手納町長らと会談したが、住民との意見交換はなかった。世論調査で7〜8割が県外移設を求めることを踏まえ、直接、住民意見を聞くのが狙いとされる。
これまでに、岡田外相は、県外移設は「非常に狭い道」と述べ、県外、国外移設の実現は困難との考えを示している。さらに、日米の閣僚級でつくる普天間移設に関するワーキング・グループ(WG)での協議の中で年内で結論を出したいとの意向を示している。